アフリカにおけるブロックチェーン技術のビジョン

私が仮想通貨の世界に足を踏み入れた時、仮想通貨を作る根本的な目的は何なのかについてまず深く考えました。ドルやユーロに対抗する通貨を作るのか?銀行を全て潰して別な融資方法を作るのか?私の焦点はそういうところにはありませんでした。しかし、現実は明らかでした。西欧諸国の経済システムのせいで、発展途上国に住む多くの人々が非常に悪い生活をしています。約30億人の人々は銀行口座を持つことが出来ず、また自国が優れたアイデンティティ・インフラや経済インフラを持たないがために貧困から抜け出すことができません。

私はブロックチェーン技術を使えば発展途上国の問題を解決出来るのではと考えました。なぜなら、この技術には中央でコントロールする人がいません。この技術はグローバルなインフラであり、お金持ちでも貧乏でも関係なく同じインフラを使うことができます。

実現には1プロジェクト当たり数年から10年という期間に耐える忍耐力が必要です。しかし、どれだけ時間が掛かろうとも、発展途上国の人々にブロックチェーン技術の使い方を教え、彼らがそれを自分たちのものにすることが出来たなら、地域の問題が全て解決します。私は4年前にIOHKを設立した当初から仲間と共に常に発展途上国で何かをしたいと考えていました。自社内で十分なインフラを構築し、さらにカルダノを設立するまでに数年を要して、今やっと市場に正しく参入できる可能性を感じています。

私達はまずエチオピアに進出しました。なぜエチオピアなのか?二つの理由があります。一つ目です。エチオピアは非常に古い歴史を持つ国で、地政学的に重要な位置を占めています。アフリカ連合の拠点があり、ユニセフがあるなど素晴らしいつながりがあります。素晴らしい貿易関係を持つ国であり、大陸的な視点を持つ国でもあります。アフリカでビジネスをするならエチオピアに拠点を置くのがベストだと考えました。二つ目です。エチオピアは未だに多くの貧困層を抱えており、人口の約4分の1が極度の貧困もしくはそれに近い状態にあり、インフラにも大きな問題があります。わずか100年の間に約1,000万人だった人口が1億人にまで増加しました。この国は持続可能な成長やグローバリズムに対応するのが少し難しい国です。だからこそ、私達が持つブロックチェーン技術を導入するには非常に良いターゲットだと考えました。

最初の課題はどうやってブロックチェーン技術の導入を実現するのかでした。最初のステップは一緒に仕事をする優秀な人材を見つけることでした。ケンブリッジ大学やオックスフォード大学、エジンバラ大学などから優秀な学生を連れてきて彼らにブロックチェーン技術がどのように機能するのか、Haskellでのプログラミングをどのように行うのかなどを教育しました。そして、彼らが知識を得た後は、エチオピア人が日常的に直面している問題は何かを突き詰めました。例えば、エチオピアは世界最大のコーヒー生産国でコーヒーは国の巨大な換金作物であるにもかかわらず実に寂しい状況にあります。品質が安定せず、サプライチェーンに様々な問題があり、持続可能ではない方法でコーヒーを栽培しているからです。

ブロックチェーン技術により中央集権的な調整を必要としないより良いガバナンスを構築することが出来れば、エチオピアが抱える問題を解決し、より強くより良い市場を構築することができるでしょう。その結果、人々全体がより強くより良い立場に立つことができるのです。さらに、このようなインフラが整備されれば、環境保護や持続可能性、生態系の持続可能性について、より具体的な議論ができるようになるでしょう。

私はブロックチェーン技術がエチオピアで成功すれば、アフリカや世界のあらゆる場所で成功すると確信しています。これは非常に大きな挑戦です。私の下で働く研究者やエンジニアに負担を掛けるのは間違いありません。しかし、私は「最も多くのものを持っている人」のために何をするかではなく、「最も少ないものしか持っていない人」のために何かをしたいのです。それが私の信条であり、ビジネスへの取り組み方です。

心に残る翻訳を目指しています

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