Cardano の新しいZK証明を活用した「ProofZKRecovery」公開

【概要】

 2026年7月14日、Cardanoの創設者であるチャールズ氏は、自身がほぼ単独で開発したというGitHubリポジトリ「ProofZKRecovery」を公開したことを動画で発表しました。

ProofZKRecovery リンク(https://github.com/CharlesHoskinson/proof-zk-recovery)

このツールは、Cardanoにこの月導入されたばかりのゼロ知識証明(zk-SNARK)の新しいプリミティブを活用し、Groth16証明を用いて「24単語のシードフレーズが特定の派生パスに属すること」を暗号学的に証明できる仕組みです。これは「SecondFi復旧アプリ」として機能するものだといいます。

このツールによって、もし何らかの事故やハッキングで資産がロックされてしまった場合でも、「これは自分の秘密鍵から正しく導かれたウォレットである」ということを、秘密鍵そのものを晒すことなく第三者(スマートコントラクトなど)に証明し、資金を取り戻すことができるようになります。

「Groth16証明」とは?(クリック/タップで展開)

Groth16は、Ethereumなど他のブロックチェーンでも広く使われている実績あるzk-SNARK方式です。証明サイズが小さく検証が高速という特徴があり、プライバシー保護や資産の所有証明といった用途に適しています。

【解説】

チャールズ氏は、関連するハッキング事件が発生した直後からこのプロジェクトに着手したと説明しています。開発の動機は、「Van Rossem ハードフォーク」によって新たに利用可能になるゼロ知識証明の技術を使い、失われた資産を安全に取り戻す手段を検証することにありました。

彼はこの取り組みについて、責任ある情報開示(レスポンシブル・ディスクロージャー)の観点から、当初は公開を控えていたと述べています。しかし、同様の事件に関する情報が他の開発者によってすでに公開されたことを受け、非公開にしておく意義が薄れたと判断し、今回のオープンソース化に至ったとしています。

リポジトリの核となるのは、Groth16と呼ばれるzk-SNARK(ゼロ知識簡潔非対話型証明)方式を用いた証明システムです。ユーザーは自身の24単語のシードフレーズが正しい派生パスに紐づいていることを、フレーズそのものを明かすことなく証明できます。

チャールズ氏によれば、開発の過程でCardanoのプレビューネットワーク上に実際にADAをロックし、Groth16証明を生成・送信して資金を復旧するテストを行い、その一連のトランザクション履歴も証拠としてリポジトリに含まれているとのことです。数百~数千通りの組み合わせの検証なども実施されたと述べています。

発表の中でチャールズ氏が強調していた技術的なポイントは以下の通りです。

  • 回路の規模:深さK22、パラメータ数は約360万に及ぶとされ、Cardano向けとしてはこれまでで最も包括的なGroth16回路の一つだと本人は述べています。
  • 多言語実装:Go、Haskell、Rust、Pythonなど複数言語にまたがる実装で構成され、コミット数は650を超えるとのことです。
  • WASM対応:ブラウザ上でも実行可能なWebAssembly(WASM)という形式。開発の過程でConsenSys(Ethereumブロックチェーン関連の技術開発を手がける、Web3業界を代表する企業)が抱えていたとみられる関連の技術的課題を偶発的に解決できたともHoskinsonは語っています。
  • マルチパーティ計算(MPC):ユーザーが独自にセレモニー(初期設定)を実施し、自分専用の証明を生成できる仕組みも用意されています。

なお、Hoskinson自身も明言している通り、これは本番運用向けのプロダクションコードではありません。あくまで概念実証・学習用のテスト実装という位置づけです。

Hoskinsonは今回のコードの大部分を自身で書いたとしつつ、以下のメンバーの貢献にも言及しています。

  • Stefan Kontu氏:証明にTrusted Execution Environment(TEE)関連の機能を追加
  • Ruslan氏(Emurgo所属):開発に協力
  • Giuliano氏:同じくプロジェクトに参加

【まとめ】

今回のProofZKRecoveryの公開は、単なる一つのツールの提供にとどまらず、Cardanoに新たに追加されたゼロ知識証明プリミティブの実力を示すショーケースとしての意味合いが強い発表です。

  • Groth16による24単語シードフレーズの所有証明という、実用的なユースケースを提示
  • Cardanoの新機能が、大規模かつ実践的なzk回路の構築に耐えうることを実証
  • 「本番コードではない」という誠実な位置づけの明示

開発コミュニティにとっては、Cardano上でのゼロ知識暗号技術やマルチパーティ計算の実装方法を学ぶ、貴重な参考資料になりそうです。

※最後までお読みいただきありがとうございました。可能な限り正確にまとめていますが、AI要約のため誤りが含まれる場合があります。ご了承ください。
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