カルダノのUTXO技術、イーサリアムは模倣か チャールズが反論

【概要】

カルダノ創設者チャールズ・ホスキンソン氏が、自身の配信でイーサリアムコミュニティを痛烈に批判した。きっかけは、イーサリアム財団研究者が提起した「ネイティブUTXO」構想だ。決済処理を一回限りのオブジェクトとして扱い、恒久的なステートを大幅に削減するというこのアイデアについて、ホスキンソン氏は「カルダノが10年かけて築いてきた拡張UTXO研究への言及が一切ない」と苦言を呈した。本記事では、その発言の要点と背景にある技術的経緯を整理する。

ネイティブUTXOの記事:

https://ethresear.ch/t/native-utxos-on-ethereum/25368

【解説】

イーサリアム財団の研究者トニー・ワールシュテッター氏が公表した提案は、ビタリック・ブテリン氏の問題提起を発端とするとされる。ビットコインのUTXOモデルのように、決済を「作成されて一度使われたら消える」一回限りのオブジェクトとして扱うことで、恒久的に残るステートのデータ量を約99.8%削減できるという内容だ。

ホスキンソン氏は、カルダノが10年以上前からUTXOベースのスマートコントラクト(拡張UTXO)を研究し、Alonzoアップグレードで実装してきたと説明する。2018年発表の論文「Chimeric Ledgers」(著者:Bruno Woltzenlogel Paleo氏)では、UTXO型とアカウント型の台帳を統合する手法が示され、並列処理や参照入力といった技術課題にも取り組んできたという。ErgoやNervosなど、同様にUTXOモデルを追求してきた他プロジェクトの名も挙げた。

“For 10 years, we’ve worked on UTXO, extended UTXO.”

ホスキンソン氏は、a16zなどのVCやイーサリアムコミュニティがUTXOに注目する一方で、カルダノへの謝辞や言及を避けている状況を痛烈に皮肉った。

“You can’t say the C word in Ethereum.”

また、BitMEX共同創業者アーサー・ヘイズ氏が「カルダノにスマートコントラクトはない」と発言したことについても、事実誤認だと反論している。

カルダノのオンチェーンガバナンス制度は、オンチェーン・トレジャリーを通じて開発資金を継続的に確保できる仕組みを持つ。ホスキンソン氏はこれを、2026年6月に人員の20%・予算の40%削減を発表したイーサリアム財団の状況と対比し、資金モデルの違いを強調した。あわせて、将来的にイーサリアム側がオンチェーン財源や、カルダノが開発を進めるスケーリング技術「Ouroboros Leios」に類する仕組みを取り入れる可能性にも言及している。

ホスキンソン氏は、カルダノの技術的優位性として以下を挙げた。

  • パートナーチェーン:他チェーンの流動性を取り込む非寄生的なL2構想
  • Hydra:段階的なスケーリングを実現するレイヤー2技術
  • Midnight:格子暗号ベースのプライバシー・コンプライアンス対応チェーン
  • 非カストディアルのリキッドステーキング:資金ロック不要な設計
  • 自己修復型コンセンサス:攻撃を受けてもハードフォークを伴う手動リセットが不要

“Take a second look at Cardano, I beseech you.”

これらの技術群は、カルダノが目指す「スケーラビリティ×プライバシー×ガバナンス」の統合戦略を象徴している。

ホスキンソン氏は、カルダノ自身もイーサリアム、ソラナ、アバランチ、XRPなど他のエコシステムから着想を得てきたと認めている。その上で、出典を明示せずに技術を取り入れる姿勢を批判し、「引用を怠らない」ことの重要性を強調した。技術は単独で生まれるものではなく、エコシステム間で影響し合う関係性を認め合う姿勢が健全な発展を支える。

【まとめ】

今回のホスキンソン氏の発言は、イーサリアムの「ネイティブUTXO」構想を巡り、カルダノが10年かけて築いてきたEUTXO研究への功績が正当に評価されていないという不満から生まれたものだ。技術的な先行性の議論に加え、オンチェーン・トレジャリーによる資金持続性の違い、Midnightやパートナーチェーンといった今後のロードマップまで幅広く語られている。

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