▲引用(IOHK:Welcome to the age of RealFi

これはアフリカ事業担当ディレクター、ジョン・オコナー氏によるRealFi(リアルファイ)に関する最初の論文です。ここではRealFiとは、「従来にDeFiの貸し借りのシステムに、個々のアイデンティティ(これまでの生き方や経歴)もデータ化して融資基準の要素として加えることで、より多くの人が参加できる金融サービス」を指します。

RealFiの時代へようこそ

近年のブロックチェーンの進化を語る上で欠かせない要素といえばDeFi(分散型金融)です。DeFiはブロックチェーン上のスマートコントラクトを用いて、全ての人々が分散型の公開台帳を使い金融サービスにアクセスできるようにするものです。銀行員やブローカーといった中間業者を排除することでDeFiは新世代のユーザーを獲得し続けています。この分野は急激な成長を遂げており、現時点での価値は1000億ドルとも言われています。

DeFiはオープンな金融ネットワークです。今まで人々はお金を送金したり、借りたり、貸したりするためにPayPalやWestern Union、銀行などの民間企業を経由しなければなりませんでした。DeFiではその必要はありません。従来の方法に取って代わるのが個人間のP2P(ピア・ツー・ピア)という方法です。P2Pはブロックチェーンを基礎となる台帳として使用し人々の金融取引をサポートします。

DeFiの基本概念は「健全」です。融資は通常ある程度、もしくは場合によっては過剰な担保を設定します。そして、一連の手続きの内容は借り手にほとんど知らされないため、借り手は融資が支払えなかった際は貸し手の償還請求に従う他ありません。

中央管理組織に依存しないP2P方式では、スマートコントラクトとブロックチェーンベースのシステム固有の透明性と不変性の中で、ユーザーは互いに交流します。この方法だと貸し借りに関する通常の規制上の制約のほとんどが適用されず、手数料も大幅に低くなる傾向があります。

RealFiの採用について、チャールズ・ホスキンソン氏は今後12カ月から24カ月の間に大多数のDeFiプロバイダーが計画的にRealFiにアップグレードするだろうと語っています。また、彼はDeFiプロバイダー達はアイデンティティやメタデータを実際に暗号化し、適切な標準値を設定して安全性と機能性を確保し、規制やガバナンス問題を解決すると共に、新規顧客の獲得に乗り出すだろうとも語っています。

経済システムが発達している国では、DeFiはブロックチェーンが金融のレガシーシステムを破壊し、より良い利回りや流動性を求める次世代のユーザーにアクセスのドアを開放したと考えられています。全く新しい金融システムを確立したDeFi市場はモデルの進化に伴い、今後数年間で現状の1,000億ドル規模からさらに大きく成長すると予想されています。

しかし、DeFiの時代がもたらしたのは良い面ばかりではありません。新たな市場が創造され魅力的な新しいユースケースが生み出される一方で、金融商品に容易にアクセスできる人々とそうでない人々との間の経済的な格差が一層浮き彫りになりました。

DeFi時代の格差是正

クレジットの価格設定とは債務不履行のリスクを評価し軽減することです。従来の消費者金融やクレジットは、借り手がどのような行動を取るか(消費額や収入など)を把握することでリスクを軽減しています。DeFiのリスク軽減へのアプローチは異なります。

先進国では、成熟した信用スコアリングシステムが信用を提供するために重要となりますが、これの新興市場国での重要度は先進国以上です。新興市場国で銀行が融資を断る理由は借りようとする個人や組織のデータが十分でないからです。システムが洗練されていないか、単にシステム自体が存在しないかのどちらかです。システムに問題のある場所で信用スコアを通して正確な財務状況を把握することは不可能です。

しかし、私達には解決策があります。借り手のアイデンティティを参照してクレジットスコアを構築するのです。貸し手は公共料金の支払いを遅延していないか電力会社に問い合わせたり、携帯電話の充電回数を電話会社に問い合わせたりすることができます。課題はデータをどうやってアイデンティティに結びつけるかということです。この課題をクリアすれば、データを地方銀行やマイクロファイナンス・イニシアチブ、あるいは世界中にいるカルダノ・コミュニティメンバーが運営する分散型の資本プールに提示することができます。

私達は今ブロックチェーンの革新によって不可能を可能にできる段階にきています。必要な財務情報はすべてAtala PRISM IDを通じて検証可能な形で保存・伝達することができます。DeFiの通貨構成要素を踏まえると、融資の構造化や通貨リスクヘッジをすることができます。また、カルダノが提供するスケーラブルな決済レールや様々なレイヤー2ソリューションによって世界中で資本を円滑に移動することができます。

DeFiの先はRealFi

今年、私達は2つの非常に重要なブロックチェーン契約の成立を発表しました。エチオピア教育省とのパートナーシップでは、授業の達成度の監視と全国的な教育の質向上を目指してAtala PRISMに基づく国民IDと達成記録システムを構築します。タンザニアで結んだWorld Mobileとの提携では、ブロックチェーンを通じて接続されていない人々を接続し、基本的なオンラインサービスへのアクセスを可能にします。

これら2つのような強固な契約は、RealFiを構築するというカルダノのミッションの出発点となります。私達の考えるRealFiとは、金融サービスにアクセスする新しい方法を本当に必要としている人々を対象とした真の金融であり、DeFiではしばしば欠落してしまう真の価値を生み出すものです。RealFiは暗号通貨の流動性と実世界の経済活動との間の摩擦を取り除き、暗号通貨ホルダーには魅力的な利回りを、実世界の人々にはより安価な融資・金融商品を提供する商品のエコシステムです。

カルダノはトランザクションチェーンの末端にある真の経済価値「個人のアイデンティティ」を解き放つことで金融パズルに最後のピースをはめ込みます。

アイデンティティはすべてのものの中心です。人々が経済的なアイデンティティを手にした時、目の前に広がるのはビジネスチャンスと包括性のある世界です。真のビジネスチャンスが意味するのは、人々がこれまで手の届かなかった基本的なサービスへアクセスできるようになることです。

アイデンティティは資産と見なされるため担保の代わりとなります。貸し手の最大の関心事は融資(および発生する利息)が確実に返済されることです。貸し手が借り手について十分かつ明確な情報を持っている場合(借り手が高額所得者や長年の顧客関係であることが分かっている場合)、貸し手は担保を放棄する傾向にあるようです。

金融排除(金融サービスにアクセスできないこと)の是正

Kiva(アメリカのマイクロファイナンスNPO)のようなマイクロレンディング・プラットフォームは、アフリカの新興国市場に非常に適したビジネスモデルとして成功しています。アフリカのような環境では、小額の融資であっても受けられれば農家や起業家、創造と成功を目指す人々にとっては人生を変えるものになり得ます。

金融へのアクセスは私達が描く大きな構想図の一部に過ぎません。保険、教育、医療サービスへのアクセスがなければ人々は大きなリスクにさらされたままです。RealFiはブロックチェーンの力とAtala PRISMのようなデジタル・アイデンティティ・プラットフォームを通じてこの難問に対する包括的な解決策を提供します。デジタルアイデンティティは金融商品だけでなく、誰しもが先進国の人々と同じように経済的に繁栄するためのサービスへのアクセスを可能にします。

チャールズ・ホスキンソン氏はカルダノは常に発展途上国への参入を目指していると語っています。金融サービスにアクセスできない30億人の人々に焦点を当てたいのです。カルダノが参入している多くの市場を見てみると、アイデンティティやウォレットを介してそれらの市場を暗号通貨の世界に導き、RealFiへのアクセスを可能にさせようとしています。ホスキンソン氏は全ての人々がグローバルな市場に公平に参加できるようになることを非常に楽しみにしていると語っています。

RealFiはオンチェーンの借方・貸方の新時代の到来を告げるものです。カルダノのADAホルダーは現在合わせて800億ドル相当のコインを保有しており、ホルダーの多くはステーキング以外にもっと利回りの良い選択肢を求めるようになるでしょう。このような暗号通貨の実世界への応用という人々への真の金融の提供がカルダノのパワーと独自性に火をつけるスイッチとなります。これこそが多くの人が気が付いていない暗号通貨の本当のユースケースなのです。検証されたアイデンティティがあれば、例えば、ローマに住む誰かがケニアのビジネスに無担保で融資をしたいと思うかもしれません。

カルダノはPezesha(ケニアの金融サービス企業)と提携し運転資金のための短期融資を希望する中小企業への融資を促進しています。これらの融資のデフォルト率はわずか2%です。にもかかわらず、ケニアの市場では現地の流動性が不足しているがゆえに企業は資金調達に苦労しています。私達の目標は暗号通貨ホルダーが実世界のビジネスにシームレスに貸し付けを行い、ウォレットに直接暗号通貨で返済を受けることができる円滑でシンプルなツールを構築することです。

RealFi:ビジネスチャンスの民主化

RealFiは特定の地域の人(アフリカなど)が金融サービスにアクセスできないことに対して異を唱えるものであり、アフリカやその他の地域における金融的・社会的な包括性の新時代の到来を告げるものです。RealFiを通じてカルダノは自助努力する人々にとってアイデンティティ提供の希望の光となります。RealFiの使命は実在する人々のために真の金融価値を創造することであり、カルダノと他のブロックチェーンプラットフォームを差別化する重要なカギとなります。

エチオピア、タンザニア、ケニアのプロジェクトはグローバルな公平性と包括性実現に向けた遥かに長い旅の第一歩です。暗号通貨ホルダーに魅力的な利回りを提供し、経済的弱者の疎外感をなくすための活動の始まりです。DeFiと同様に、RealFiは暗号通貨の流動性と実世界のビジネスチャンスとの間の摩擦を減らす製品と技術を提供するエコシステムとなるでしょう。RealFiを通じて私達は世界をより小さくし、すべての人々を資本とビジネスチャンスが掴めるグローバルコミュニティに繋げたいと考えています。

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