UmbraDBにMidnight City、CharlesがAMAで語った最新動向

政治・映画・都市伝説等の雑談パートは割愛し、Midnight/Cardanoエコシステムに関する実質的なアップデートに絞りました。

【概要】

 Charles Hoskinson氏は2026年7月27日、久しぶりとなるサプライズAMAをコロラド州から配信した。組織再編の影響で不定期になっていたAMAだが、今後は再びレギュラー開催を目指すという。今回は、Midnightの新ストレージ基盤「UmbraDB」、ベータ版のテストの拡大が進む「Midnight City」、Cardano-Midnight間ブリッジの設計思想、Hydraの実装状況、そしてRealFiや韓国市場展開など、Cardano/Midnightエコシステムの最新動向が幅広く語られた。

Input Output自身の役割転換について(クリック・タップで解説)

Input Outputは2026年7月から、Cardanoのコア開発責任を段階的に外部の専門チームへ移管する取り組みを開始しました。対象はHaskellノード、Plutus、Daedalusウォレット、Hydra、開発者リレーションなどで、Se7en LabsとTeragoneという2社の独立企業が開発を引き継ぐ体制です。今後も段階的に進んでいきます。それに伴い、IOは研究とIO Labs・IO Venturesを通じた新規事業創出に軸足を移す方針を示しています。2026年の財源要求も前年の9,750万ドルからほぼ半減の4,680万ドルに引き下げられており、これはエコシステムを単一組織への依存から脱却させ、自律的なモデルへ移行させる意図的なシグナルだとされています。

こうしたCardano全体の”脱中心化フェーズ”の一環で、研究→製品化を担っていたCBUという部門が、より研究・ベンチャー志向のIO Labsという枠組みに再編されました。

【解説】

Midnightのプリプロダクション環境には、これまでインデクサーやノードと連携する永続化ストレージ層が存在しなかった。この課題を解決するため、Hoskinson氏は独自データベース「UmbraDB」を開発し、各データを扱いやすく便利にした。今後1年をかけてこの仕組みを軽量化し、可能であればMithrilの統合も進める方針で、長期的な永続化ストレージ設計の”青写真”にしたい考えを示した。

2週間サイクルで開発が進むMidnight Cityでは、今週にも第一陣のユーザーが波状的にオンボーディングされる見込み。まず5,000人を招き入れ、以降は毎週フィードバックを収集しながらFrontier Mapsなどの機能を拡張していく方針。評価指標としては、世界観の魅力度を示す「watchability」と、エージェントへの愛着度を示す「empathy」の2つを重視。前者はユーザー獲得コストの低下、後者は解約率の低下と相関するという。

Midnight Cityの開発は、複数の専門チームとの連携によって並行して進められている。

「Shielded」との連携について
Input Outputからスピンアウトしたエンジニアリング企業「Shielded Technologies」を指す。同社はMidnightネットワークのコア技術そのものを開発するパートナー。Midnight CityとShielded Technologiesの接点は、エージェント取引に必要なマルチチェーン署名とintents(意図ベースの取引実行:ユーザーは取引を行わず、「何をどうしたいのか」という意図を指示する。取引を実行するのはエージェントである)の実装にある。
※ステーブルコイン「ShieldUSD」とは別の組織です。

「Midnight Foundation」との連携について
「Midnight Passport」によるユーザー/エージェントのID統合

「IO Labs傘下のARC(Applied Research and Creative Engineering)部門」との連携について
エージェント向けの信頼実行環境(TEE)で、それぞれ協業が進む。

「TEE」とは(クリック・タップで解説)

外から中身を覗けない、安全な金庫のような処理領域。「エージェントに任せても、中身は誰にも見られず、かつズルもできない」ようにするための技術。

Hoskinson氏は「もっとも学際的で実りの多いプロジェクト」と表現し、3〜4ヶ月後にはToken2049やAbu Dhabi Finance Weekで成果を披露したいと語った。

Midnightは現時点でCardano本体のトランザクションそのものを秘匿するわけではない。実際の設計は、Cardano側でロックした資産をもとにMidnight側でプライベートなステーブルコインを生成し、それをEthereum・Solana・Hyperliquidなど利回り商品が豊富な他チェーンへ配分するというもの。読み書きはマルチチェーン署名とintentsを通じて行われ、Cardano側からはMidnight側の中身が見えない構造になっている。今後はゼロ知識証明ベースのトラストレスなブリッジへ移行する計画。Hoskinson氏は「両サイドに複数の方式を組み合わせた「マルチモーダル(一つの方式だけに頼らず、複数の異なる仕組みを平行して用意しておくことで、片方が破られても安全性を保てる)」なブリッジを持たせることで、安全性を最大化すべき」との考えを示した。

Hydraはすでに稼働中の技術であり、ステートチャネル内で行われる処理は数学的な保証によって担保されるとHoskinson氏は説明した。最大規模の実装例は「Glacier Drop」で、これをHydra上で今日再構築した場合にどれだけ効率化できるかが一つの指標になっているという。Gummy Worm(DEX)やDelta DeFi(DEX)など、アプリケーション単位での実装も進行中。開発者にとっての使いやすさについては改善が続いており、「あと1~2年で目指す水準に到達する」との見通しを語った。

マイクロファイナンス領域のプロダクト「RealFi」について、Hoskinson氏はCardano上で最も有望なプロダクトの一つと位置づけ、12ヶ月以内に10億ドル規模のTVL到達が現実的だと語った。長年にわたる紆余曲折を経てRealFi Foundationが正式に発足し、John O’Connor氏がリーダーシップを取る体制に移行。Hoskinson氏自身も私財を投じてきたと明かし、100ページに及ぶ市場投入戦略資料を財団に提供したことも紹介した。今後の製品ロードマップの取捨選択は財団側の判断に委ねられるとしている。

韓国の国有銀行関係者からの質問に対し、Midnight Foundationによる韓国での取引所上場拡大は「近く実現する見込み」と回答。ID連携が厳格な韓国のような市場では、Midnightによって特定の法域や規制に対応するネットワークを構築できることが特に強みを発揮すると説明した。また、Midnight Passportによって「Charles at midnight」のような単一の名前でADAウォレット・Ethereumウォレット・Midnightウォレットをまとめて表現できるようにしたい考えも述べた。

配信中にはLeios関連プロジェクトの「Musashi Dojo」テストネットも紹介された。earth(開始時点)→water→fire→wind→voidの5段階でメインネットに向けたロードマップが構成されており、9月にfire、10月にwind、11月にvoidフェーズへ進む予定だという。Hoskinson氏は「会社として最も誇れる仕事の一つ」と評価した。

【まとめ】

今回のAMAでは、UmbraDBによるMidnightの基盤強化、Midnight Cityのベータ版のテスト拡大、Shield USDを軸としたCardano-Midnight間ブリッジ構想、Hydraの実運用進捗、そしてRealFiや韓国展開といった複数の商業的マイルストーンが並行して進んでいる様子が明らかになった。いずれも今後3~12ヶ月という比較的近い時間軸での進展が見込まれており、Token2049やAbu Dhabi Finance Weekまでの動きが一つの節目になりそうだ。

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