相互運用性
異なるブロックチェーン同士で情報や資産の移転ができる性質
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現状の問題点
ブロックチェーン技術には、ビットコインやイーサリアム、カルダノなどさまざまなプラットフォーム(各サービスを運営するための基盤)があります。
イーサリアムのウォレットから別のイーサリアムのウォレットには手軽に送金することができますが、ビットコインのウォレットには送金することができません。なぜなら、イーサリアムとビットコインは異なるルールを持っているからです。
もちろん、イーサリアムチェーンのDapps(分散型アプリ)で、ビットコインを使用して取引をすることもできません。したがって、このような場合イーサリアムを送金するためには取引所でイーサリアムとビットコインを変換する必要があり、非常に手間がかかります。
ビットコインとイーサリアムを例に挙げましたが、異なるブロックチェーンすべてにおいて同様の問題点があります。これでは送金や取引をたくさんされる方にとっては、不便であると言わざるを得ません。
相互運用性の利点
①一方向/双方向の取引において、情報や資産の移転を即座に行うことができる
具体的な例があったほうが圧倒的に分かりやすいので、Cardanoチェーンではありませんが引用させていただきます。DataChain社のブログで、これが私が調べた限り最も実用的で具体的な例でした。
DataChain社は、ブロックチェーンの技術検証を進めるNTTデータと連携し、これまでに貿易業務におけるインターオペラビリティ技術の実証実験を行った。企業向けのブロックチェーン・プラットフォーム「Hyperledger Fabric」で構築された「貿易プラットフォーム」と、「Cosmos」(Tendermint)で構築された「決済プラットフォーム」をデータチェーンが採用する「Relay方式」であるIBC(Inter-Blockchain Communication)の技術でつないだところ、輸入者と輸出者間で、貿易プラットフォーム上の貿易文書と決済プラットフォーム上の資金の移転を、同時に自動で実行することができた。
https://paymentnavi.com/paymentnews/110919.html
「貿易プラットフォーム」とは、貿易には銀行、保険会社、物流事業者、船会社など多種多様な企業が関係しているので、それらの情報を一元化するための基盤のことです。また、決済プラットフォームはPayPalやYahooウォレット、COTI Payなどの決済の基盤のことですね。これらの取引をDataChainによって結び付け、情報や資産の移転を自動で実行できるというメリットがあります。
②仲介する特定の第三者の信頼に依存せずに自動的に行える
上記の例ですが、もう1つメリットがあります。それは、ブロックチェーンが分散型であるゆえに「第三者の承認が無くても取引できる」ということです。例えばYahooウォレットはYahooのサーバーがダウンすれば使用できません。しかしブロックチェーンのノードは世界中に散在し、それらによっていくつかのノードがダウンしてもシステムが継続します。
Cardanoの相互運用性
①Nervos(ネルボス)
相互運用性の構築を目指すPorkadotのライバル。現在はイーサリアムとネルボスエコシステムとの相互運用性があり、「フォースブリッジ」と呼ばれています。Cardanoとの相互運用は2021年11月現在開発中です。Cardanoとのフォースブリッジにより、両方のブロックチェーンの開発者がそれぞれのサービスや機能を利用できるようになるため、Dappsの増加およびユーザーの増加が拡大すると予想されます。
②Milkomeda
dcSpark社が開発中(2021年度現在)。Ethereum開発者はSolidityという言語で作成したコードを「M1」と呼ばれるCardanoサイドチェーンに投稿でき、カルダノのメインネットで直接スマートコントラクトを実行できます。更にEthereum以外にも、将来的にはSolanaなど他のブロックチェーンも含めて相互運用可能になるとのことです。DeFiやNFTなどの取引でもウォレットの汎用性が高くなり、ユーザビリティの向上が期待されます。
dcSpark, a product based blockchain company which builds critical products and solutions on top of the most promising crypto projects in…
最後に
何かを契約するときに、自分の情報の証明として「住民票の写し」などを提出したことはありませんか?私は住宅の契約や、証券会社の口座の申し込みなどのときがそうでした。相手の会社側からすると、住民票の写しに記載された住所などを必ず手入力でデータ化しているはずです。その時に、改ざんまではさすがに無いとしても、漢字ミスや入力ミスする可能性もありますし、そもそも非常に手間がかかります。
個人データがデジタル化されているとするならば、それを他企業などでも相互に運用できれば費用・時間のコストも減りますし、何より正しい情報が伝わります。
あと、個人的なユースケースになってしまいますが、楽天ポイントをアマゾンポイントと相互運用できるようになってほしいです(笑)
相互運用性は、日常生活にも大きく関係してくるかもしれません。Cardanoの相互運用性も徐々に広がりつつあります。スマートコントラクトは徐々にその数を増やしてきています。2021年11月現在、まだ価格には反映されているとは言えない状況かもしれませんが、各種プロジェクトの進捗状況を鑑みると、これからの期待が膨らみます。最終的には成熟したブロックチェーン市場において、すべてのブロックチェーンが相互運用できるといいですね。
参考文献
①Trade Logブログ「「インターオペラビリティ」〜ブロックチェーン同士を接続する新たな技術〜」
https://trade-log.io/blog/1095/
② DataChain社のブログ 「Datachain、決済分野を含むブロックチェーン間のインターオペラビリティ実現を目指す」
https://paymentnavi.com/paymentnews/110919.html
③WorldEconomicForum「サプライチェーンのためのブロックチェーン包摂的展開」
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/financial-services/bk/WEF_A_Framework_for_Blockchain_Interoperability_JP_2020.pdf
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